79人が本棚に入れています
本棚に追加
プロローグ
空を見上げて、思い出す。
せつなくて、ちぎれそうなくらいに苦しい。
あなたと出逢わなければ、きっとこんな気持ちになんてならなかった。
喜びも、寂しさも、全部分かち合ってきたと思っていた。
繋がれていたはずの手が、一瞬のうちにほどけてしまって、どうしようもなくなった。
もう一度、〝元に戻れるのなら〟と、何度願っただろう。
見上げた空は街の灯りが滲んで漆黒と煌めきの間に、目には見えないほど僅かな力で、星は瞬いている。
いつか、「満天の星空を見に行こう」そう約束したあの日の願いを、見えない星に祈ってみても、その願いは、もう叶うことはない。
口ずさむそのメロディと、切ないほどに痛々しい言葉の羅列が、自然と涙を誘いだす。
星に願いをかけるよりも簡単に、この想いを消せる方法が知りたいと、
何度も心の中で叫んだ。
最初のコメントを投稿しよう!