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ーー水瀬さん、僕です。分かりますか?
スマホから聞こえた、ずっと聞きたかったその声に、あたしの涙腺は一気に崩壊してしまった。
「……分かるよ……」
ーー山中陽太です。水瀬さん、会いたいです。どこに行けば、会えますか?
「……病院……は? 退院、したの?」
退院したらすぐに連絡すると言われていた、それなのに碧斗くんからの連絡は来ていなかった。
ーーはい。しばらくは無理な運動は控えないといけないけれど、今まで通り、僕は元気になりました。みんなが、僕のことを信じて支えてくれていたから。
溢れ出して止まらない涙を拭いながら、ただただ、陽太の声が嬉しくて、ずっとその声を聞いていたくなる。
ーー水瀬さん、僕と会ってくれますか?
不安げに聞いてくるのはどうして?
あたしがどれだけ陽太に会いたかったか分かっていないの?
「……会いたいよ。陽太に早く、今すぐ会いたい……」
消えそうに、だけど精一杯に言葉を紡ぐ。
今すぐに会いに行きたい。
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