大上さんの表裏

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大上さんの表裏

 女の子はぶっちゃけ好きだ。  俺はそれなりに社交的だし見た目もさほど悪くないと思ってる。前髪で目が隠れていてまぁ闇を抱えてるように見えるかもしれんが、きっとそれなりにいいはずだ。  だって皆俺に積極的に話しかけてくれるし?  そのせいか何人とも付き合ったことがあるって話になってる。噂とは怖いものだ。まぁ全て間違っているかと聞かれればそうでもないけど。火の立つところはなんとやら、と言う通りってやつで。  確かに告白されてお試しで付き合ったけど全部3日とか一週間でお別れとかそんなんばっか。恋人がいたっていうステータスを持ちたかったからとかOKしてくれそうだとか、遊びでとりあえず付き合ってみたかった女子の気まぐれに付き合わされたような付き合いばっかだ。俺はそのおかげで「実はモテる男」っていうステータスを手に入れたけど、それだけ。  ……ぶっちゃけ、それらを付き合ったに入るかどうかと言われれば、俺にとったらNO一択だ。  全員結局俺をうわべでしか見てなくて、いざ付き合ったら「なんか紀彦(のりひこ)君つまんない」だとよ。失礼にもほどがある。全員向こうから俺に「付き合ってみない?」て言ってきた女子ばっかなのにさ。だから俺は結局ちゃんとした恋愛をしていない。好きになられてばっか、お試しに付き合ってばっか、て感じで俺から「好きです付き合ってください」て状態になったことは一度もないの。空しいことこの上ない。付き合ったら好きになれるかなって淡い期待は見事なぐらいぜーーんぶ打ち砕かれてんだもん。  あーあ、誰か俺をちゃんと見て好きになってくれる人いねぇかな。  そんなこと思いながら窓の外を見ていれば、丁度運動部がボールを蹴り合っていた。多分サッカー部だろう。その輪の隅で、マネージャーの女子と選手用の青いビブスを着た男がいた。男がタオルを受け取って、女子は恥ずかしそうにそっぽ向いて。その姿に男はここからでもわかるくらい破顔していて。あーあ、あれがイチャラブって言うんだろうなぁ。
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