大上さんの表裏

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 成績もそこそこ優秀な、才色兼備、という言葉が相応しいのが目の前の彼女だ。  そんな女子と今教室で2人きり。  しかも向こうから話しかけてくれた。  テンションが上がるのは必然と言えた。  にやけそうになる表情がバレないように片手で口元をマスクするように覆いながら大上(おおかみ)の言葉に「ふーん」「へぇ」と相槌を打っていく。 「ところで何見とったん? 忍び足でウチが近づいたにしても全然気づかへんくらい集中しとったやん」 「あー、なんかあそこのカップルラブラブだなって」 「え、どこどこ?」 「あそこ。サッカー部のマネージャー」 「あ、ホンマや、てかミキちゃんやーん! そっかそっか、彼氏ってあの人のことかー! 名前知らん人やわぁ。明日見たよって言ったろ」 「仲いいの?」 「クラスメイトの人らとは大体喋るよ、ウチ?」 「俺は結構初めてぐらいに喋ってる気がするんだけど」 「あっれぇ? そうやっけぇ? ……あ、やって森岡(もりおか)君……紀彦(のりひこ)君……どっちも名前長いな、うん、ノリ君でいこう。ノリ君は大体彼女おるし彼女持ちの人に近づくのってなんか気ぃひけるやん? 女の子たちって嫉妬するやろ?」 「あー……確かに」 「やろぉ? でも今はフリーやろし話しかけても大丈夫かなぁって。お友達になりたいとは思てたしな! なんか気ぃ合いそうやし!」 「なんだその勝手なイメージ」 「ほらほら、それ! 遠慮なく物言うやん? ウチそういう飾らない人好きなんよ」 「お……おう」 「あ、照れてるー! 女慣れしてる思てたけどそうでもない感じ?」 「うるせっ」 「てか今日英語の授業の時めっちゃおもろかったなぁ! ノリ君の後ろの人、マキ君やん? 寝てるノリ君に先生があてようって思った消しゴムがマキ君の額にクリーンヒット! 可哀想やったけどめっちゃわろてしもたわぁ」 「あーそれな。俺見たかったんだよなぁ」 「まぁ寝てたしな! ほんでその後本の角っこでコツンってされてたな」 「いやいやあれはコツンじゃない。ガツンッ、だったぞ。血が出るかと思ったし」 「そんな強かったん? いったそー!」
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