大上さんの表裏

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 普通、こういったものは自分の性癖とかそういうのを曝け出すのと同じようなものだから隠すのが当たり前と俺は認識していたのだが、どうやら目の前の活発少女は俺が思う”普通”のカテゴリに収まらないタイプらしい。むしろぐいぐい見せてくる方で「こことかめっちゃ頑張ってんで!」とテントの張ったパンツをめくろうとして舌なめずりをしている筋肉質な男を指していた。恐らく、受け側が見上げている視点という設定での攻めのドアップ画面、といった構図だろう。舌なめずりをしている所から、今から受け側を食おうとしている攻めといったところだろうか。  ……こういったことをわかってしまう俺のオタクスキルに少々悲しくなる。  いや、それよりも、だ。  モデル、と言ったよな、目の前の美少女。 「……は!?」  漸く俺は何をご所望されているか理解し、言葉を発することが出来た。  絶対嫌だ、断固拒否、と文句と抗議の言葉を連ねたかった、が―― 「いやー、まさかノリ君がウチの超理想なタイプやったとは~。これで止まっていた筆が捗るわぁ」  ――そう、ニッコニッコと明るい笑顔で言われれば、断りたくても断れない。  しかも理想のタイプ、とか言われると悪い気がする男はいない。というかむしろいい気分だ。しかも人気者の美少女から言われているとなれば余計だ。特に好きだとかそういうのはないけれども、大上のことは嫌いではない。むしろ好きな方。というか見た目はめっちゃ俺のタイプ。仲良くしているだけで俺のカーストランクというステータスが上がるし、俺の理想に近い可愛い子と繋がりを持ててしまう。いや、普通に持ちたい。そんな下心に理性を覆われてしまった俺は「しゃ、しゃーねぇな」とツンデレのごとく承諾してしまった。  かくして。  突然舞い降りてきたきっかけから、俺はとんでもない趣味を持っている彼女とのつながりの幕を上げてしまったのだ。
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