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大上さんのお願い
翌日。
いつものようにかたっくるしい授業を聞き。
いつものようにそこそこ真面目にノートをとり。
程よいタイミングで少々の惰眠を貪り。
キンコンカンコン、と嫌というほど聞き慣れたチャイムで目覚めた俺が顔を上げれば。
斜め前に座っている女子がキラキラと輝く何かを振りまきながらこちらへと振り向いたところだった。
「よっしゃ、早速時間ある?」
「……いきなりだな」
「だってすっごい楽しみやってんもんっ。ほんま待ち遠しかってんから~」
「さいでっか……ふぁーあ」
自分との時間を楽しみ、と真正面から言われれば悪い気はしない。
ただこれで照れてしまっている自分がバレることが嫌だった俺は盛大な欠伸をして誤魔化すという形をとった。
「ほな早速。お昼休みの時間をちょいとウチにちょーだい」
両手を頬の横でパチンと合わせて首を傾げるという”可愛らしいおねがいポーズ”を自然にやってのける大上に俺は思わずデレっとしそうになるのを必死に堪えるために眉間に皺をよせ「いいけど、その前に腹減った」と男らしい素っ気ない言葉を返した。
そんな俺たちのやりとりをクラスメイトたちは最初は不思議そうに見ていたが、すぐに興味はそれた。
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