4人が本棚に入れています
本棚に追加
というのも、元々社交的な大上宵は誰とでも喋る。本当に、文字通り誰とでも。暗い明るいとかカースト的なことは全く関係なく、彼女の自由に。だから珍しい組み合わせであったとしても、片方が大上であれば「ああまた大上宵の気まぐれか」で片付くことが多い。というか、そういった場面を既に俺は何度も見てきた。今回はとうとう俺の番が回ってきた、という感じにしか見えていないだろう。とはいえ大上宵の気まぐれは一週間以上続いたことがない。今俺はついつい気恥ずかしさで素っ気ない態度をとってしまったが、出来れば長引かせたい。俺と大上、2人でいるのが当たり前のように思ってもらえるよう少しは工夫しないと俺のステータスは上がらない、と思い直した俺は「あー、折角だし一緒に飯食うか?」と誘ってみた。
正直、ダメもとだった。
女子という生物は決まったグループで集い昼を共にしないと気が済まない生き物だ。例え彼氏がいようとも、暗黙のルールだから、と言ってカップルでは食べようとしない。
――というのが女子へのイメージだったのだが、大上は俺の言葉にパっとわかりやすく顔を輝かせると「ええのぉ!? ほな一緒にご飯食べよー! サクっと食べてサクっと趣味タイムや!」と嬉しそうに言ったのだ。
まさか了承されるとは思っていなかったが、俺にとっては有難い。
俺はすぐさま、俺のとこに来ようとしていた友人たちに「すまん、今日は大上に用があるから大上と食うわ」と言い、「ういー」「いってらー」というあっさりとした承諾にひらりと手を振って教室を移動することにした。
最初のコメントを投稿しよう!