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不意に、ベッドの方から気配を感じた。
はっきりしたものではなかったが、衣擦れのような音が聞こえた気がしたのだ。
ロバートはゆっくりと椅子から立ち上がり、照明スイッチのある壁に歩いた。スイッチを押す。広い寝室には天蓋付きの大きなベッドが用意されていた。そして、その上に女が一人。
ロバートは言葉を失い、瞬きを何度か繰り返した。
横になっていたところを起き上がる途中なのか、女は片腕の腕立て伏せが崩れたような姿勢で、顔をロバートに向けていた。女の表情もやや驚いている感じだった。
ストレートの黒い髪が顎のラインで切り揃えられている。黒いドレスを着ている。
ロバートは左の指で煙草を挟んだまま、数歩ベッドに歩み寄った。
女はそれに合わせてロバートの顔を目で追ったが、姿勢はほとんど変わらなかった。
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