Chapter.1

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【01】  狭く白い部屋は、進路相談室というよりは 懺悔室に見えた。 立花清志[たちばな きよし]は部屋に入ると 振り返って後ろに手招きする。 すると、制服姿の女子高生が ウンザリした顔でついて来た。 畔原紗良[あぜはら さら]。 校則が厳しい事で有名な白金女学院の中で ギリギリ 好き勝手なファッションをした派手な生徒。 髪こそ染めていないものの 着崩した制服やカラフルなヘアピンから 彼女の反抗心をまざまざと感じた。 「なに、先生? あーし、進路指導なら間に合ってんだけど」 「いいから座れ」 畔原は机の上にカバンを放る。 それでもお淑やかな座り方をする辺り さすが白金女学院の生徒と言ったところか。 「オレの授業でとある噂が流れ始めた」 「どんな? 」 「ある生徒が職員室に忍び込み 試験の回答を盗んでるってな」 清志は席につかず、机に手を突いた。 「お前、その一味だろ? 」
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