王子の器

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「リロン様は極度の浮気性。何度も正妻をの話を持ち掛けられているのに、そんな時に女遊びをして破断」 「破断……」 「リロン様に直接、王族関係者から恋文を送っても気に入らなければ返ってこない。それは何が基準なのかもわからない。あとは公務を早めに終わらせたがって、いざ早めに終わらせると街にお忍びで出かけてしまう。その際に妾なども作らないかが心配されている」 「なるほど」 私はある程度のことをメモに取っておく。 そのままの勢いで王子の問題点が上がっていく。 「次はライド様。ライド様は強欲と言うか、恐れられる存在。人使いが荒くて金遣いも荒い。あれは誰にも治せないのよね」 二人しか聞いていないのに、もう腹いっぱいというような状態。 残り三人というカウントダウンまで始めてしまう。 「ザーラ様は基本的に困ったことはないわ。公務もしっかり果たすし。でもあの人は五人の中で一番口が悪い。いわゆる毒舌ね。あれじゃ妻なんてもらえないってみんなが言っているわ。それに話すときも笑わないし、仕事熱心って感じ」 ここまで来て不安しか募らない私。 それとは裏腹にベラはどんどんヒートアップしていく。 「イース様は無口、無愛想。誰とも話さないし、誰にも笑わない。だからコミュニケーションもとれなくて公務に影響が出ているの。そして最後にミルロ様ね。あの方は困ったわ。外に出てこないんだもの」 そこで初めて耳を疑った。 「外に出てこない? 部屋にこもってるってこと?」 「そうよ。誰も部屋に入れてくれないからもう顔も見てないわ。近々城に入った子は顔も声も知らないはずよ」 これは困った。 頭を抱えたくなるほどだった。 想像以上の問題の多さに解決方法すら湧かない。 「ミルロ様のお母さまは今の妃だからお母さまの名前を出せばいいと思ったんだけどダメね」 そこでふと気が付いた。 写真を見て思ったこと。 今のミルロ様の話。 どうして全員瞳の色や髪色がバラバラなのか。 「あの、王子のお母さまって……」 「あー、みんな違うのよ。男児が生まれたら交代見たいなシステムでね。なんせ今の王は一人しかいないから特別に一夫多妻制になってるの。まあ、今の王子たちにはないだろうけど。あ、あと地雷を踏まないように言っておくわ」 ベラは耳に手を当ててこっそり呟いた。 「ザーラ様は妾の子だからお母さまはここにはいないわ。そこだけ気をつけてね」 その時初めて知った。 この城にも影はあるのだと。
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