王子の器

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翌日から王子の前に出る練習が始まった。 と言っても今日一日だけで、明日からは王子たちと対面するらしい。 心の中にあるもやもやは消えず、任務を全うしなければならないという緊張感も消えない。 でも何も知らないベラは微笑んでくれるし、テルさんも様子を見に来てくれる。 一日だけで城のことを知れたとは思わない。 でも影も光も少しずつは知った。 あとは自分で動かなければ。 「お疲れ様。明日は迎えに来るわね。次の日からは全部自分で行動よ! 大変だけど頑張って」 「ありがとう、ベラ」 城に入って知ったのは王子の世話係はもちろん、側近の数も少ないらしくベラも忙しそうに書類を見たり、判を押したりしていた。 そしてベラと別れて自室へと戻った。 ドレッサーの前に座り、赤茶に染まった髪を梳かす。 一族にいた頃はこんなことすらできなかった。 母の看病に、食料の確保、水を汲んで、縫物をして。 でも今の生活は贅沢すぎるほどだった。 食事は出してもらえるし、洗濯などは担当の人に任せる。 掃除や片付け、そして王子たちへの仕事をしていればいい。 そんな生活でいいのかと少し不安になる。 でも染まってはいけないというのもわかっている。 第一、力を見つける方法と奪う方法がわかっていないのだ。 まずはそこから探さなければならない。 私は昨日書いた、メモを見返す。 「浮気性、強欲、毒舌、無愛想、引きこもり、か……」 頭が痛くなるような問題だらけ。 中にはどの程度の問題かもわからないし、対処法がないのではと思うものもある。 でもこれをクリアできれば任務に向き合える。 そう思って私はベラからもらったノートに向き合った。 対策ノートと名付けて。
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