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癖あり王子の攻略
とうとうこの日がやってきた。
予定がいろいろ重なったのと、練習期間の確保で王子との対面が先延ばしになっていた。
だが、今日やっと世話係としての仕事を始められる。
といっても、この数日間でわかったのは私がやることは王子の問題を解決すること。
ただそれだけ。
他の事は他のメイドさんなどがやってくれる。
問題をなくすために奮闘しろということなのだ。
ベラとテルさんが苦笑したのもわかる。
「王子の前に出るっていうのにあなた全く緊張してないのね」
ベラが肩を叩いた後、愉快そうに笑った。
今から王子と会うが、ベラも気楽そうにしている。
「もちろん、緊張なんかしていたら問題解決なんてできないでしょ?」
私は胸を張って、堂々と答えるとベラは目を丸くした。
それが私も不思議に思い首を傾げた。
「何かおかしなこと言った?」
「いや、そうじゃないのよ」
手を振って慌てて訂正するベラは少し罰が悪そうに笑う。
「あなたを最初に見た時、優しそうでいい意味で弱そうに見えたから本当に務まるのかしらって思ったの。でもその心意気なら本当に変えちゃうかもね」
大きな扉の前に立つ頃にはベラの心配も私の心配もなくなっていた。
ベラの信頼も得られて、これから王子の目の前に立つ。
どんな王子か聞いてはいたけれど想像でしかない。
もしかしたら言いようが酷いだけかもしれない。
仮に酷い状態でも私が改善すればいいだけ。
王子だって人間なんだもの。
人間として接すればいつか……
そう思ってもう一度ベラに笑いかけた。
「ベラ、やり遂げて見せる」
「その心意気、かったわよ」
その言葉を最後にベラが扉を開けた。
そこに待っていたのは、五人の王子。
ではなく、二人の王子だった。
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