決戦の夜

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「リナティーナ?」 「そうです。彼女は王族が襲われた時に、闘い帰らぬ人となったリナスタードの娘。王族の一人、心の能力の持ち主です」 ザーラが大きく言い放った時、王様以外はどよついていた。 そして王様はまっすぐとアーリス族を見ている。 「ザーラよ。ではこの者たちは」 ザーラは私を抱き寄せ守るように力を込めた。 「彼女の育て親などではありません。王族を襲った、そして水、自然、動物、姿、力を操る能力を奪った一族です。そしてその中にいる母親も偽物。彼女の母はリナアリーナ。彼女もスタード様と共に亡くなっています」 一瞬で世界が黒く見えた。 母が偽物? 母のために頑張ってきたのにあれは演技? でも考えれば私が記憶にあるのは4,5歳の看病をしているところからなのだ。 ザーラ様の全てを知る覚悟があるかどうかを聞かれた時私はあると答えたのだ。 それなら自分の足で立たなければいけない。 「いけませんね。ザーラ様。勝手に決めつけてはいけませんよ。私たちがその一族だという証拠は?」 バル様が前に立ち、ザーラ様に挑戦的な笑みを向ける。 それは能力がなくても察知できた。 バル様はここで能力を使うと。 「では、ここで鏡を掲げましょうか。殺すことでしか奪うことのできないこの力を」 「それは結構」 バル様は両手を広げ、私たちを見据えた。 ここでバル様が能力を使えば城はただでは済まない。 「ティーナ。よく聞くんだ」 バル様が笑いを見せてこちらを値踏みしている頃合いを見計らってザーラ様が私に耳打ちする。 「本当の名を知ったことでお前は能力を使える。だからあいつの心を見るんだ。操ることはきっとまだできない。その心の先を俺に教えてくれ。俺の能力を信じろ」 ザーラ様の言う通り深呼吸をして見つめると、未来が見えるように映像としてバル様の心が見える。 能力で城を破壊して私たちを殺すつもり。 でも全てを伝える暇はない。 それならば。 「ザーラ様、ここにいる全員が危ないです。私は操れるように近づきます」 「そんなことしたら!」 「信じて」 その会話を最後に私の視界は薄い赤い色に染まった。 同時にバル様の笑顔がこちらに向いた。 一族もこの光景を見るのは初めてらしく怯えているものが多い。 私は一歩近づくと、風が吹き荒れた。 「近づかせぬ! そして死ね!」 「ティーナ!」
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