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私は目を凝らしてバル様を見つめた。
心から静まれと祈って。
その瞬間に私を温かく包む何かがあった。
そして耳元でこうつぶやく。
「いつまでも一緒だと言っただろう」
その声は優しくて私の心を穏やかにしてくれる。
だから余計に色や風に負けずにバル様の心に語りかけられた。
静まれと。
そして争いの力がなくなれと。
すると風が吹き止んだ。
そしてバル様が目を瞬かせて手を見ていた。
「なぜ力が効かない」
「それは、一番強い力がティーナにあるからだよ」
後ろから聞こえた声に振り返ればリロン様、ライド様、イース様、ミルロ様が立っていた。
「心は誰よりも強いって教えてもらったからね」
「あなたはそれに負けた。それだけ」
王子たちは私と並んだ。
闘う時も一緒だと言ってくれているようだった。
「あの者たちを捕らえよ。しかし、バルという者は慎重に」
そして一族は兵士たちにとらえられていった。
その中には私が今まで母だと思っていた者もいた。
でもその目は何とも思っていない目で、ようやく私は一人だったのだと気づく。
それを見ていたのかザーラ様が私の手を握った。
「ティーナのお父様やお母様はもういない。でも俺がいる。俺はいつまでもそばにいる」
ザーラ様の顔は優しく何もかもを包んでくれるような微笑みで溢れていた。
だから私も微笑みを返した。
離さないという意味で手に力を込めて。
「まあ、俺たちもいるから兄弟も増えるわけだしな。仲良くしようなティーナ」
ライド様が私の頭に手を乗せると、リロン様もイース様もミルロ様も笑って私を見ていた。
「王子の心を動かすとは、本当にすごい者だったのだな。ティーナよ」
気づけば王様が近くまで寄ってきていた。
佇まいを直すと、王様が遠いまで語った。
私の父は近衛兵で母は王様のいとこにあたる人だったと。
そして恋愛結婚をして私が生まれた。
何の偶然で襲われた時に私が殺されなかったのかはわからないが、そのおかげで名を取り戻した今、自分の能力を自分で使えるようになったという。
「ザーラを頼んだぞ。ザーラも彼女を大切にな。私は婚姻の儀の準備でも進めるか」
そう言って決戦の舞踏会が終わった。
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