初恋 〜あの頃の時間(とき)〜

1/12
前へ
/12ページ
次へ

初恋 〜あの頃の時間(とき)〜

私の高校に今日から新しい教師が来る。 かなりのイケメンで、尚且つ独身だという事で、女子校である我が校の生徒たちは俄然、色めき立った。 「玲子、さっきから静かね」 「だって興味ないから」 「あ、そうか玲子には彼氏がいるもんね」 「今はいないよ、誰とも付き合ってない」 「だって、あの彼氏は……」 「付き合って直ぐに分かったの。この人、浮気性だって」 「あ、それはダメだわ。治らないって聞くもの女好きな男性は」 「私もそう思ったから、あっという間にサヨナラしました。付き合った内に入らないくらい短い期間だった」 「でも、まあ、良かったじゃない。そんな男なら付き合っても時間がもったいないだけだから」 「ありがと茜、慰めてくれて」 「思ったことを云っただけよ」        ガラッ 「はい、みんな、席について」 担任の小宮山が入ってきた。 今朝も髪型は頭に大きな団子を乗せてるようなスタイルだ。 付けまつ毛もバッチリと真っ黒だ。 顔のシワを延ばすためか、思いっきり髪を引っ張っているので、生え際の毛を見ていると痛々しく見える。 「みんなは、もう訊いていると思うけど、今日から新しい先生が、この高校で教鞭を取る事になりました」 小宮山のメガネは今朝も下へ下へとずり落ちてくる。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加