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お昼休みになった。
いつもなら、購買でパンを買って済ませるのだが、今日は温かい物が食べたくて、私と茜は食堂に行った。
混んではいるが、来年からの共学に向けて、食堂は拡張されているため、広過ぎて空席が目立つ。
私は天ぷらうどん、茜はカレーを注文した。
注文した物を受け取り、私と茜は窓際の席に座った。
さて、食べようとした時、前方に守山先生の姿があるのを見つけた。
生徒たちが、先生と同じテーブルに数名いる。
定食らしき物を食べている守山先生のことを、穴の空くほど観察していた。
「お気の毒に」
思わず私は呟いていた。
その日、帰宅してからも私は何故、守山先生に親しみや懐かしさを感じるのか、考えていた。
33歳といえば、私よりも16歳も年上になる。
そんな男性との接点が分からない。
「デジャブとか、そういうのかなぁ」
その晩はそれ以上考えずに私は眠った。
翌朝、スマホに留守電が入っていた。
聴いたら姉からのものだった。
『もしもし、玲子?もう寝たの?早過ぎない?まぁいいけど。あのさ、玲子に貸したドナルド・フェイゲンのCDを返して欲しいのよ。友達に貸すから。じゃあね、おやすみー』
相変わらず前置きが長いなぁ。用件だけでいいのに。
姉さんは昔っから変わらない。
よく喋るのに、肝心のことは話し忘れることも、しばしばだし。
ん?
姉さん……?
なんかモヤモヤしてきた。
何でだろう、寂しいし切ない気持ちがする。
「早く着替えなきゃ、遅刻しちゃう」
時計を見た私は、慌ててパジャマを脱いだ。
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