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「ほい」ハンカチでわたしの口許を拭った上司は、「青のりついてたぞ。……社会人なんだから飯食った後はちゃんと鏡でチェックしろよな。……まさか、歯磨きもしてないとか言わないよな?」
かぁあ、と頬が熱くなった。「してますってば……っ!!」変に意識したわたしが馬鹿だった。認めますよ。超のつくおバカちゃんでございます。
「へぇ。……出すぞ」上司のやる気のない声とともにエンジン音が聞こえた。続いて嗅覚を刺激する、排気ガスの匂いに思わず顔をしかめた。
* * *
「ああ……何度来てもここはこころが洗われる気がしますね。本当に。コスメの森は美しい……」
コスメの森とは、巨大な建物の中に、いろんな化粧品会社が、直接お店を出しているフリースペースで。小さいテナントを借りているのに等しい。まぁ、傍から見たら超でっかいL〇FT的な。そして、コスメの森の運営会社の雇われのBAさんが対応してくれる。
BAさんがやってくるなり、上司は頭を何度も下げた。「いやぁ……恐縮です……いつもありがとうございます……藍沢さん……」
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