◇13. 永遠の幸せ【最終話】

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「……若いっていいよな」とわたしの反撃をものともせぬ彼氏は、「若いうちはいくらでも寝れんだよな。年食うと勝手に朝早く目が覚めちまうんだ」……この男は、朝の五時には起きてランニングをしている。蒔田(まきた)一臣(かずおみ)じゃあるまいし。  エプロン姿であきれ顔の彼は、「……飯作ってっからさっさと顔洗ってこい。朝飯を当ててくれたら百回キスをしてやる」  ……そうじゃなくとも。して欲しいんだけど。「うん? 目玉焼きにトースト?」 「ざぁんねん」とわたしの腰に手を回す上司は、「外れにございます。……ばぁか。おまえの好きな、ふっかふかのパンケーキだっつの」……そうして予告通り、百回以上のキスに見舞われる。……もう。  来週末には結婚式場を見に行こうと話している。うちの両親にも会って貰って……田舎に行って。段取りを考えるのが楽しい。このひととなら永遠に楽しく幸せに過ごせる……そんな確信と予感を抱いているから。 「大好き。……鋭牙」 「おれも。有菜。……ってそろそろまじで支度しないと遅刻すっぞ」
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