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4 入場
大広間にラッパの音が鳴りひびく。
王家の入場に対して広間に居る貴族達は一斉に深々とお辞儀をする。
勿論中央で突っ立っている10人の候補者達も深いカーテシーで王家が其々の席につき、声掛けされるまで顔を伏せて待ち続ける。
「面をあげよ」
国王陛下のお言葉に従い、貴族達も中央の候補者達も全員が元の立ち姿に戻る。
陛下の開会の宣言とともに、金髪の王子が椅子から立ち上がり、壇上から降りてきて娘達の近く迄やってきた。
一人一人の前に立ち止まり、充分な時間をかけながら王子が今日までの試験に対する労いの言葉をかけていく。
今日で残りの9人はオサラバで、婚約者として決まるたった1人の御令嬢が明日から王子の婚約者として王宮での教育が始まることとなる。
ゆっくりと微笑みながら進む王子を候補者達も全力でガン見である。
今日を最後に王子との個人的な交流は無くなる為、人気俳優並みの国1番のイケメンをきっと脳裏に刻みつけるためだろう。
もっともその中でも例外的に熱の冷めた目で見ている候補者がいる。
勿論イリスである。
『早く決めて終わんねえかなぁ』
どうしてこの様な事態に陥ったのか自分で全くもって分からない。
しかも前世の自分はめっちゃ朧気で、どういう性別でどういう人物だったのかも、どうやっても思い出せない。
だが、確かにこの体は自分であるという自覚もあるし、所作や口から出る言葉遣いも優雅さを帯びていて思考とともに、それに応じた言葉遣いがオートで喋れるという特典? 付きのようだ。
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