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自分の美貌を見せびらかすような振る舞いは、流石後に『薔薇の貴公子』と呼ばれる人なだけある。
自分の美貌に自信があるラベンだが、主人公の心の美しさに惹かれて猛烈な口説きを見せるナルシスト色男。
そして常に薔薇を胸ポケットに刺してる事から周りから薔薇の貴公子と呼ばれるようにるのだ。
「これだけ大事にされてる子供がどんな子か気になってすぐ来たよ!僕はラベン・メルバーグ。よろしくね、可愛い子ちゃん。」
「は、初めまして…ルイス・ヴァレンタインです。この子は弟のリヒト・ヴァレンタインです。」
「……初めまして。」
「君は確か、養子だったかな?」
「…そうですけど…。」
「ふぅん…ま、元平民にしては中々綺麗な顔をしてるんじゃないか?それだけは褒められる点があって良かったね。」
「………。」
なっ…何だこの男…!俺の可愛い弟に物凄く失礼な言い方しやがって…!
「…失礼ですが、ラベン様。」
「何かなルイスくっっんぅ!!!?」
笑顔でこちらを向くラベンの最後の台詞を言い終わる前に強烈ビンタを食らわせた。
リヒトは目をまん丸とさせて、メルバーグ家の使用人達は顔を青くさせ、我が家の使用人達は自慢げな顔を見せる。
そして、当の叩かれた本人はまだ現実を受け入れられてないのか呆然と俺を見詰めていた。
「いくらラベン様が僕より上の家柄とはいえ、僕の大事な弟に対してのその大変失礼な言葉は許せません。舐めたように外観を褒めた発言も失礼です。
元平民が何ですか?今はヴァレンタイン家の正統な次男で僕の弟。貴方が見下して良い相手ではありません。
貴方が初対面の人に、しかも元平民だからとそう不躾な方とは思いませんでした。」
「あ、いや……その………」
狼狽えるラベンの首元を掴んで引き寄せる。
「非常に不愉快です。」
そして俺はリヒトと使用人を連れてそのまま馬車に戻った。父様達には悪いが先に帰る事を使用人に伝言をお願いしてメルバーグ家を後にした。
その時はリヒトを馬鹿にされた怒りで、勢いのままビンタしてしまったが、冷静になってくるととんでもない事をしてしまったと思うが、後悔はしてない。
俺の弟を馬鹿にする方が悪い。…でも父様達には何て説明しようか。
「…あの、兄さん……。」
「ん?どうした?」
「…ごめんなさい、僕の為にあんな…」
「え?大丈夫だよ。俺はリヒトのお兄ちゃんだよ?それにヴァレンタイン家の次男をいくら公爵家であってもあんな失言ゆるされないから!リヒトが謝る事は何も無いよ!」
「そうですリヒト御坊ちゃま!ルイス御坊ちゃまが出なくても私が手を出してましたね!」
「ええ。ルイス坊っちゃまはヴァレンタイン家次期当主として正しい事をしました。旦那様もそれは理解してくださります。」
事を聞いたメアリとランガードがうんうんと頷く。その後小さく「ありがとうございます…」と照れて言うリヒトが可愛くて可愛くてひたすら頬をスリスリしていたのだった。
その後帰宅した両親からは特にお叱りなども無く、俺達が帰った後にラベンはメルバーグ夫妻からこってり絞られたそう。だから俺が謝る必要は無いと言ってくれていたそうだ。
ー数日後ー
「ルイス御坊ちゃま。お手紙が届いてます。」
「え?誰から?」
「……ラベン・メルバーグ様からです。」
ライラが少し言いにくそうにして、手紙を持って来た。まあ俺が怒る事自体がかなり珍しいから、手紙を持って来たとなると嫌な気分になるんじゃないかと思ってるんだろうな。
「読むよ。貰っていい?」
「どうぞ。」
どうやらこないだの件の謝罪を述べた手紙のようだ。メルバーグ夫妻に書けとでも言われたのか。というか、謝罪の文は俺じゃなくてリヒトに送らないとだろ。
『ルイス・ヴァレンタイン様
先日は不快にさせる発言をしてしまい大変申し訳ありません。その後、父と母に叱責を受け自分のした事の罪の大きさを知りました。
今後は相手の事考え発言をしていく事を誓います。』
ほぅ……以外にまともな…。
…ん?
『そして貴方の鋭い指摘に私の胸が撃ち抜かれ、貴方の言葉を思い出すたび胸が高鳴ります。』
………ん?
『貴方に蔑むような目を向けられたあの日、何かが弾けたように視界が色鮮やかに輝いて見えるのです。』
…………んん?
『また罵られたいと思うのは烏滸がましいでしょうか。』
……………罵ってませんけど!!?
『ではまた貴方に再会するまでに自分を更に磨いていきます。』
…ちょっと待って、何この手紙は。蔑むような目?きっとそれは怒ってる目です。罵ってる?ただ不愉快って言っただけです。
……ハッ!!そう言えば…主人公が学園に入学してラベンに言った言葉が、『学園では貴族も平民も関係無いと言うのに、貴方は平民だからと見下すのですね。心底見損ないました。所謂クズです。謝ってください。』……だっけ。
それでその後ラベンはちょっとずつMに目覚めていくんだった。
似たような事を言ったか分からないけどもしかしたら俺のあの言葉がラベンのM心に刺さったのか……!?そんな馬鹿な…!!?そうだとしたら攻略対象チョロすぎだろ!
すまん主人公。もしかしたらラベンのM人生をもう開花させてしまったかもしれない。どうにかして元に戻させるからまたあの台詞、頼む。
ライラに手紙を渡して、「…燃やしといて」とだけ伝えた。ライラは嬉々と手紙をすぐ暖炉に薪を焼べ火をつけ燃やした。ラベンは完全にヴァレンタイン家使用人達に嫌われた模様。
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