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料理はもう並べられていた。柔らかいパンにサラダ、コーンスープと食べやすそうなメニューだ。父と母は楽しそうに会話をしている。二人の様子から、夫婦仲もとても良いらしい。……のは良い事だけど、ちょっと子供の前でイチャイチャし過ぎじゃ無い…?
「?あら、ルイスどうしたの?」
「…いえ、何でもありません。」
ここではこれが普通なのか。俺が慣れればいいのか。成る程。
そこで、父がさっきまで読んでいたであろう新聞が横に置いてあった。えーと…今日の日付は…と。帝国暦835年6月10日…か。ゲームの本編が始まるのが…--
「そうだルイス。来月お前の6歳の誕生日だからとっておきのプレゼントを用意しておいたから楽しみにしていなさい。」
「ありがとうございます!お父様!」
「あら〜本当に可愛いっ!」
…ん?6歳?……………。
ああ!!思い出した!ファンブックに載っていたのを!確かルイスの誕生日と同じ日、攻略対象の1人であるリヒトが養子として家にやってくるんだ!
リヒトがルイスの1個下だから…4か5歳か…。んで、リヒトが15歳の時に本編が始まるから…あと10年後!?って事かな…。
本編ではルイスとリヒトの絡みなんて0に等しいからすっかり忘れてた…リヒトがヴァレンタインの養子でルイスの弟だって。
それでリヒトと主人公は幼馴染っていう設定で、確か幼い頃ルイス経由で知り合ったってファンブックに書いてたな。
来月にはリヒトに会えるのかぁ…楽しみだな。まず、リヒトと主人公が良い感じに親しくなるように動かなければ…。もう今から妄想が捗っちゃうなあ〜。
ゲーム本編。リヒトルートで好感度が80%になった時、幼馴染の権限という弱みに付け込んでリヒトが主人公にいやらしい事を沢山するんだけど、それがもう超甘々なエッチで……。
『ね?イイでしょ…僕達幼馴染みだし。』
『ああっ…!ンッ…ン…』
『ずっと小さい時から一緒に居たんだもん…どこが良いとか直ぐ分かっちゃうねッ…』
『はぁぁっ…!だ、め…リヒトっ…』
…と、リヒトは容赦なく奥深く突き上げる。…とかなんかやっちゃってえ!!いゃ〜思い出すだけで満たされる…。
ハッ!もしかして……それが生で聞けちゃったりするのか…!?他の攻略対象者達とのあれやこれやが…!!
神か!女神様か!ありがとう…!!
心の中で涙を流しながらお礼を言う。そうやって、楽しく妄想に耽っている様子をルイスの両親は微笑ましく眺めていた。
そう言えばこのゲームは、魔法も使えるファンタジー要素もあった筈だけど…俺も使えたりするのかな…。
一応今までのルイスの記憶の中では使ったりしてる傾向には無い。
「あ、あのお父様」
「何だい?」
「僕…魔法使えるようになりたいです…。」
「!…ふふ。そうか。だが、まずは6歳になってからだな。」
「え?何故ですか?」
「6歳になった子供達は、神殿に向かい先ず洗礼を受けなければならない。そこで、魔力測定をしてどんな魔法が自分に合っているかを知るんだよ。」
「へぇ〜!じゃあ6歳になったら使えるんですね!」
「ま、ルイスがどんな魔法を秘めているかによるけどれども。」
おー、それは楽しみだ!!早く誕生日にならないかなぁ…。
ルイスはどんな魔法系統なんだろう…。ファンブックにも特に載ってなかったし。ま、脇役だしね。特別素晴らしい魔法とかでは無さそうだな。あまり期待しないでおこう。
そう言えば、ラスボスとは本編始まらないと会えないのかな。その前に会ったりするのかな。ゲームの世界とはいえ何処までが忠実なストーリーで進むのか分からないし、もしかしたらストーリーが全く関係なくただのほほんと日常が過ぎるだけかもしれないし。
王太子殿下やラスボス、幼馴染み、宰相に隣国の王様、それから騎士団長や情報屋ギルドのリーダーとか…主人公には酷かもしれないけど、それぞれ乳繰り合ってるのを生で聞いて笑顔で吐血したい所存であります。
主人公!大きな期待をしているぞ!
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