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とある小話
それはある日眠りに入った後、
ゆらゆら心地いい夢の中だろう景色でベッドから起き上がる。
さっき寝たはずなのに窓の外は朝のように明るい。
なのでもしかして夢ではなく本当に現実で、朝なんじゃないかと錯覚する。
「……兄さん?」
ふと隣から大好きな弟の声が聞こえて顔を向けると、そこには丸裸の綺麗な顔をした大人の男が寝転びながら頬杖ついて俺に優しい微笑みで笑いかけているじゃないか。
いや、この姿は見た事がある。
ゲームで成人に成長した姿が載ってたリヒトの大人の姿だ。
おお、流石かっこいい…
でも何で裸……?
「寝起きの兄さんも可愛いね。」
そう言ってリヒトは俺の頬にキスを落とした。
「っ…!?え!?」
「…んー…そんな顔してると昨日みたいに一日中可愛がりたくなるんだけど…いい?」
なっ、何が、『いい?』んでしょうか…!?
「あっ、ちょ…!リヒト…!」
首筋をレロ、と舐められビクッと身体を震わせる俺。何だこの甘酸っぱい雰囲気というか、リヒトは…!それは兄の俺じゃなく受け…というか主人公に見せるべきでは!?
俺なんかじゃなく!!
「かーわい…兄さん…。」
完全に男の顔になってるリヒトが覆いかぶさってきて---
待っ…待て…!だ、
「……だ……めだぁぁぁああああ!!!」
そこで勢い良くガバッとベッドから起き上がった。心臓がバクバクしながら恐る恐る隣を見ればそこに丸裸の大人のリヒトは居らず、あれはちゃんと夢だったんだと自覚し安堵する。
……それにしても、なんて夢だ。
あんな、あんなの……俺の弟カッコよすぎだろ!
それを将来主人公かそれ以外の受けに見せる事になるとは…実に楽しみである。
…まぁ俺もちょっとだけドキドキした…し。
「兄さん?大丈夫?凄い大声が聞こえたけど…」
部屋の扉からひょこっと現れたのは、子供のままのリヒト。可愛い弟の姿。それと先ほどの夢の中のリヒトを思い出し恥ずかしくなったので早々に忘れる事にした。
「大丈夫だよ、ごめん。ちょっと吃驚な夢を見ただけだから!」
誰にも言わず墓場まで持って行こうと誓った日にもなったのだった。
そんなとある日の夢のお話。
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