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「ねえねえ、今日も咲良くん、超かっこよかったよね?」
「かっこよかったかっこよかった!!!さすが学年一のイケメンだよね〜。」
クラスの女の子が騒ぎ立てる五十嵐 咲良。
学年一のイケメンでモテ男。
「それに比べて松山は、、ねぇ?」
「ちょっと、そんなこと言っちゃダメでしょ?いくら、、ねぇ?」
クラスのイケメンと比較されるのは、松山 文。
常に前髪で顔が隠れ、根暗だの陰キャだのと言われている。
ちょっと可哀想な男の子。
「でも、松山と咲良くん、幼なじみらしいよ?」
「ああ、知ってる知ってる、毎日一緒に帰ってるよね。羨まし、」
文と咲良は幼稚園からの幼なじみだ。
でも、不釣り合いな幼なじみでちょっと有名だった。(女子に)
そのことに、文は気づいていた。
そして、気にしていた。
「文、今日バスケ部の助っ人頼まれたから、ちょっとまってて欲しいんだけど。なんか用事とかある?」
「え?い、いいけど、用事とか、特にないし、」
「そっか、良かった。」
咲良は気づいていた。
でも、気にしていなかった。
そして、文にも気にして欲しくなかった。
咲良にとって、文が誰よりも大切な人だからだ。
文が気にしていることに気づいていた。
その事に気づかない振りをしていた。
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「……でさぁ、バスケ部の部長がさぁ、」
「……………。」
「文?文??」
「あ!ご、ごめん、ごめん!ぼーっとしてた!」
「…もしかして、俺といるの嫌?」
「そ、そんなわけないだろ!ただ。」
「知ってる。文が気にしてること。ずっと知ってた。」
「…そう、だよな。ごめん。」
「なんで文が謝るんだよ。俺は全然気にしてないし、むしろ一緒にいたい。」
「俺も一緒にいたい、けど。けどさ。」
「俺は文とずっと一緒にいたいよ。」
咲良が自然と文の手を握る。
その手は恋人繋ぎに変わる。
「俺は文のこと誰よりも好きだし、一生、ずっと一緒にいたい。それは、10何年も変わってないよ。」
「…知ってる。」
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