不釣り合いの幼なじみ

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不釣り合いの幼なじみ

咲良がイケメンで高身長でモテていることは知っている。 小学生の頃からモテた咲良と比べられるのは慣れていた。 「あーまた負けたー!!文くん、ゲーム強すぎー!!!」 「へへ、咲良くんよりやり込んでるからね。」 「そういえば、今日さ、一緒にいた女子、誰?」 「え、一緒、、あ、委員会の?野村さんだよ。」 「あ、そっか、、文くん、なんもなかったよね。」 「え?なんもなかったかって?」 「なんもなかったかはなんもなかったかだよ。」 「…なんもなかったよ。」 「だよねだよね、だって、」 咲良は文にグッと近づく。 「文くんの一番は僕だもんね。」 その言葉の重さは、友情というには重すぎた。 いつの間にか呼び捨てで呼ぶようになり、一緒に帰るとき、自然と恋人繋ぎをするようになった。 流される俺は、満更でもない。 恋人繋ぎをするようになった頃から、咲良の重さが恋愛的なものなのではないかと気づいた。 そのうち、もっと先のことをするかもしれないと考えると、とても、、 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 文が自分に自信が無いことを昔から知っている。 誰よりも近くにいる俺は、誰よりも知っている。 いや、俺は気がついたら文しか見てなかった。 見えなかった。 だからきっと、正しい接し方が分からなかった。 気づいた時には、文を困らせてしまう段階までしてしまっている自覚はあった。 でも止まらなかった。 俺が文を見ているのと同じくらい、文にも俺を見て欲しかった。 俺しか見て欲しくなかった。 ただの醜い嫉妬を、文は受け入れてくれた。 だから調子に乗って、だんだんエスカレートした。 でも、これ以上、これ以上先に行く訳には行かないんだ。 わかってる。知ってる。でも、、、 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「俺って、咲良のことが好きなのかな。」 自室の天井を見つめながらつぶやく。 「いや逆だ。咲良って俺のこと好きなのかな。」 幼稚園から仲良しで、親同士も仲が良かった。 小学生の頃はほぼ毎日、咲良の家で遊んでいた。 中学受験をする予定だった咲良が、俺と同じ地元の中学になぜとどまったのか。 今考えればわかる気がした。 自惚れているかもしれない。 でも、それ以外考えられなかった。 俺が原因。 だとしたらもっと、自惚れていたい。 咲良に俺の事以外考えさせたくない。 「俺、咲良と、どんな関係でいたいんだろ。」
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