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それは恋か
「俺さ、文と一緒にいたい。」
「うん。知ってる。」
「でも、文がどうなのか知りたい。」
「俺?」
「文に対しての感情がなんなのか俺もわかってない。けど、それより先に、俺は文の気持ちが知りたい。」
「俺の気持ち、か。」
「……。」
俺がどうしたいか。俺はーー
「俺は、咲良が俺とどんな関係でいたいか知りたい。」
「文との関係?」
「咲良は俺と、き、キス、したい?」
「へ?キス??」
「そ、そうだよ!!キスだよ!!何度も言わせるなよ!!」
「文が勝手に言ったんだろ!!」
「俺は、咲良といられるなら、友達でも幼なじみでも恋人でもなんでもいい!」
「それ、告白?」
「こくっ、はくじゃない、咲良が聞いたことに、正直に言っただけ、だから、俺、嘘ついてないぞ。」
「そっか、、俺たち、登校中にする会話じゃないよな。」
「咲良が早めにむかえにきたおかげだな。」
「…そっか、そうだよな、あの夢のおかげだな。」
「え、夢?」
「俺、文に好きな人ができる夢を見たんだ。」
「俺に?」
「そう、彼女ができたわけじゃないのに、俺すごい動揺してさ、俺と一緒にいてくれなくなるんじゃないかって、めちゃくちゃ不安になった。」
「咲良、俺の事めっちゃ好きじゃん。」
「好きだよ、ずっと好きだから。」
「…知ってる。知ってるから俺は、」
あんな夢を見たんだ。
「咲良、俺、咲良と恋人になってみたい。」
「え、恋人、、」
「今まで幼なじみで、友達で、親友で、ずっと一緒にいるのが当たり前で、だから、」
だから。
「いいよ。俺は、文に対しての感情確かめるいい方法になると思うし。」
「意外とあっさりだな。いいのかよ?」
「俺は文と一緒にいたい。いられるなら何でもする。」
「そ、そう、だったな。」
咲良は文と手を繋ぐ。
その手を恋人繋ぎに変える。
「これ、今までと変わらないよな。」
咲良が笑う。
「だな、」
文も笑顔を返す。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「文、今日俺ん家来ない?」
「え、別にいいけど。なんで?」
「初めてのお家デートだ。」
「お家デートって。先週も遊びに行っただろ。」
「デートだから、一応初めてだ。」
「そ、そうか、」
咲良のこだわりが無駄に強い。
「帰りにコンビニ寄って、菓子パしようぜ!」
「いいな、」
恋人になった咲良は、意外とノリノリだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「お邪魔します。あれ、咲良の母さん出かけてんの?」
「ぽいな、買い物でも行ったんじゃね?」
2階の咲良の部屋へ入る。
「さっそく菓子広げようぜー」
コンビニで買ったお菓子を机の上にばらまく。
大量に買った菓子が、何個か落ちる。
「…少し、買いすぎたな。」
「だな。」
でも、それがお互い楽しくて、仕方がなかった。
「文、提案があるんだけど。」
「なんでしょう咲良軍曹。」
買ったチョコを頬張りながら敬礼をする。
咲良も合わせて敬礼。
「文軍曹と晴れて恋人になったわけですが、恋人っぽいことを実際にして、自分の気持ちを確かめたいであります!」
「許可する。」
「あざす!」
謎のノリで決まった恋人っぽいことが始まった。
「恋人っぽいこと、、咲良は何が浮かぶ?」
「うーん、、、、セッ」
「やっぱ手繋ぐことだよな。」
「それだ。」
文と咲良が手を繋ぐ。
沈黙が続く。
やけに外の音がうるさい。
「変わらないな。」
「変わらないだろ、いっつもしてんだから。」
「たしかに🦀」
咲良が恋人繋ぎに変える。
「むしろこっちの方が良くしてるよな。」
「咲良がこっちの方が好きなんだろ、なんでいっつも恋人繋ぎなんだよ。」
「なんか、特別感すごいじゃん。」
「理由が低レベルすぎて驚いてる。」
「やっぱダメかー。恋人、恋人なぁ。」
「………。」
「キス」
「……。」
「キス、していいか。」
「唐突だな。」
「なんだよ手を繋いだ余韻に浸りたいのかよ。」
「余韻ってなんだよ、今も繋いでんだよ。」
二人、なんだか疲れていた。
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