我が輩は泥棒である

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我が輩は泥棒である。 さて、今日は何を頂こうかな。商店街が賑わいだした夕暮れ時、焼き鳥のいい匂いが漂いだす。こっちは揚げたてのコロッケの匂い。焼き魚の匂いもする。 我が輩は空腹である。人混みの間をすり抜け今日の獲物を探す。目をギラギラさせ、鼻も利かせながら。 これだけ人が多いと逆に盗みやすい。店主は客の相手をしていて大いに油断している。むしろ早く盗ってと言わんばかりだ。我が輩は容赦なく、そして迷いなく真っ直ぐターゲットをロックオン。店主がお釣りをとりに店の奥に入った途端・・・ 我が輩は見事な身のこなしで華麗に焼き上がったばかりのサンマを口にくわえる。うーん旨い。サンマをくわえた口からはよだれが垂れる。 あばよ、店主。 「こらー!!誰か捕まえてくれー」 店主の怒声が響き渡る。 我が輩は振り向きもせず全力で商店街を駆け巡る。人混みを抜け静かな公園に着いた。さて、いただきまーす。 サンマはやっぱり焼きたて熱々が一番。と言いつつ、我が輩は猫舌だからフーフーして頰張る。今年のサンマも最高だなこりゃ。誰にも邪魔されずに見事に完食。ご馳走様でした。 そう、我が輩は猫である。 明日は何を盗んでやろうか。 とりあえず今日はお腹いっぱい。 おやすみにゃさい。
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