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弟さんの言葉には驚いた。 でも、村田隼人の方がもっと驚いた顔をしている。 そんな村田隼人に弟さんが優しく笑いかけながら続ける。 「言えばいいだろ?大好きだって。」 「なんの話だよ・・・。 俺はあいつが大嫌いなんだよ。 だからこんなことをしてた。」 「中岡さんに敵対するようになったのは、中岡さんに彼女が出来た時期だったな。」 「そうだよ、俺もあの女を狙ってたからな。 あいつに持っていかれてムカついたんだよ。」 「だからその彼女に迫ってたのか。」 「そうだよ、良い女だったからな。」 「だな、箕輪は良い女だよな!!」 弟さんがそう言って笑った。 弟さんの事務所で働いている箕輪さんという女性。 星神ちゃんの先輩で、中岡部長の奥さんである箕輪さんについて、そう言った。 「・・・あの女、小さな調査会社にいるな。 あんたの事務所か。」 「そこまで調べてるだろうな、お前は。 箕輪は俺の事務所にいる。」 「加賀製薬の社長秘書だった女が小さな興信所で働いているなんてな。」 村田隼人がバカにしたように笑った。 「先月中岡さんと箕輪は結婚したぞ。 中岡さん今年で38歳だってな。 大学の頃から箕輪と付き合ってたのに、38歳で結婚したんだぞ?」 「あいつウダウダするタイプだからな、どうせウダウダしてたんだろ?」 「結婚を遅らせてたのは中岡さんじゃない。 箕輪がまだ結婚しないと言ってた。」 それは私も星神ちゃんから聞いていた情報だった。 でも、箕輪さんは30歳だしそんなものかと思っていただけで・・・。 「箕輪は、お前が中岡さんに告白出来るように、自分が30歳になるまで待ってたんだろ。」 .
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