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相川社長がそんな驚くことを言った・・・。
「隼人は優秀な社員だったし、結月が人として惹かれたのもよく分かった。
でも・・・結月が好きなのは女の子だからね?」
「・・・お父さん、知ってたんだ。」
「うん・・・それはきっと僕のせいだから。」
相川社長が箕輪さんの方を見た。
そして・・・
「僕は、加賀のことが好きだからね。」
そう言って、どこかスッキリした顔で笑った。
「私が勝手にお話致しますが、加賀も相川社長の心の中のお気持ちには気付いております。
だから6年前、加賀は調査を躊躇しました。
加賀は相川社長に辿り着いてしまうかもしれないと懸念していたからです。
私は私で隼人に辿り着くと確信しておりましたので、2人の意見が合致し調査をやめ私に全ての疑いが掛かったまま退職しました。」
「凄いね、そんなことが出来たんだ・・・。」
「隼人は中岡にとって大切な人であることには変わりはないので。
そこに“恋”はなかったとしても、別な何かでは必ず繋がっているくらい・・・私も嫉妬してしまうくらいの人なので。
それは加賀にとって相川社長も同じです。」
「そうか・・・。ありがとう・・・。」
相川社長は優しい笑顔で笑い、結月さんと村田隼人を見た。
「僕も一緒に行くから、安心しなさい。
子どもが何歳になっても、親からしてみたら子どもだからね。」
「お父さん・・・ごめんなさい・・・。」
「僕こそ、こんな父親でごめんね。」
「分かるよ・・・だって、代々家族で受け継いできた会社だから・・・。
だから、私にも分かるよ・・・一人っ子だし・・・。
結婚しなきゃいけないから・・・。
子どもも生まないといけないから・・・。」
結月さんがそう言って、村田隼人を強く強く抱き締めた・・・。
「それでも、男と結婚するなら隼人とがよかった。
どんなに悪いことをしてても、私にとって隼人は綺麗だった・・・。
綺麗過ぎた心を黒い物で必死に守ってたの。
私のことまでも一緒に、守ってくれてたの。」
「そんなんじゃない、利用してただけだよ。
お前、だから俺みたいなのに騙されるんだよ。」
村田隼人は面白そうに笑ってから小池さんの方を見た。
「あんたも綺麗過ぎるからな、次からは絶対に難波さんの言ってることを信じろよ?
そういう噂にはなってるけどその人、本当に支社に飛ばされたわけじゃないから。
競合他社の加賀製薬の人間と結婚したことで煩い奴らがいて、そいつらを黙らせるために自分から降格になって支社に異動しただけだから。
他の奴らの言葉じゃなくて、自分の旦那が言ったことを信じろよ。」
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