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☆5
☆本橋 星神.......
約1ヶ月後・・・
日曜日、弟さんに連れられやってきたのは立派なマンション。
この前も来た社長のお家。
「そんな緊張すんなよ、俺まで変に緊張してくるだろ。」
「緊張しますよ・・・。
11人もご家族がいらして、その全員から弟さんとの結婚を認めて貰えるか・・・。」
たった1ヶ月の間で、弟さんとの結婚の話が本当に進んでいき・・・
今日は先に弟さんのご家族に挨拶に行くことになった。
「俺の方は大丈夫だろ。
それより、こっちが先でよかったのか?」
「お父さんは弟さんのことを知ってるからか、11人もいるから先に弟さんの方へって。」
「そうか・・・。
あのさ、俺の兄貴も姉貴も妹も腹違いの弟も・・・全員良い男で良い女だからな?」
「はい、何度も聞きました。」
ここ数日、弟さんは毎日のようにこの話をする。
そして・・・
「その配偶者達も良い奴だけど、結婚してるからな?
あ・・・妹はまだしてねーし相手は海神の兄貴か。
おっかねーな・・・全員に会わせるのが。」
毎回この流れになる。
「海神ちゃんのお兄さんに会う方が私も怖いんですけど・・・。
弟さん、3年間も好きだったんですよね?」
「良い男だからな、俺の大きな海なんだよ。
あいつのお陰で俺は兄貴達と肩を並べられてたんだよな。」
「何回も聞きました・・・。
海神ちゃんよりも海神ちゃんのお兄さんの方が怖くなりました。」
「だよな・・・俺も。」
“好きな人の妹である海神ちゃんに恋はしなかったですか?”
そう聞いた私に弟さんが首を傾げながら・・・
“俺の海は真坂の海だけだからな、大きな海。
2つも海はいらねーだろ。”
そう言ってから・・・
「真坂には“明かり”があるけどな。
夜空の“星”まで欲しいとかならねーか怖い。
それに、星神は海神が好きだからな~・・・。
あの海神の兄貴だから、良い男だから覚悟しておけよ。」
こう言う。
この話をお互い毎日のように繰り返している。
そして・・・
「弟さんって・・・私のことが10年間も好きだったんですよね・・・?」
「だから口説きまくってただろ!!」
大変なことに、このやり取りまで。
「星神は俺の“女神”だからな!!」
弟さんが嬉しそうに、幸せそうに笑ってそう言って・・・
扉を開けた・・・。
社長のお家を。
社長と雷さんのお母さんでもある奥さんのお家を。
“木葉男”さんから、結婚して“天野男”さんになった社長。
弟君を養子縁組するために奥さんの姓を選んだ社長。
弟さん達のお兄さんでもあり、弟君達のお父さんにもなった社長。
そんな社長が・・・男さんが、優しい笑顔ですぐに玄関まで迎えに来てくれた。
男さんの優しい笑顔にわたしも自然と笑顔を返す。
“社長”でもあり“お兄さん”でもあり“お父さん”でもある。
男さんの隣に立った綺麗な女の人・・・。
男さんよりは年上に見えるけど凄く綺麗な女の人・・・。
優しい優しい笑顔が、男さんにとてもよく似ていた・・・。
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