☆5

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「本当だって!!たまたま!!!」 リビングに通されると、そんな大きな声が響いている。 ダイニングテーブルには海神ちゃんと弟君が。 海神ちゃんも弟君も入籍することになっているので、“それなら同じ日に”となった。 弟君が何やら必死に海神ちゃんに言っていて・・・。 「そんな“たまたま”ある?」 「本当に“たまたま”!!! 俺だってビックリしたからね!?」 「でもナンパしたのは、わたしがオーシャンの妹だって知ってたからでしょ?」 「それは知ってたけど、知らなくてもナンパしてたよ!! 可愛い女の子が海であんな格好してたら興味津々になるでしょ!!」 「・・・水着じゃなかったけど。」 「水着じゃなかったから!! あんなの気になって気になって仕方ないから!!」 「変なの。」 「変なんだよ、俺は!!!」 会話の流れ的に、海神ちゃんのことを元々知っていたということを伝えたのだと思う。 「あ!星神ちゃん!!」 今の今までブスッとした顔をしていた海神ちゃんがわたしを見て可愛い笑顔になった。 「海でのナンパの話だろ? お前、本当に“たまたま”?」 「“取締役”までやめてよ。 本当に“たまたま”!!! “取締役”こそ10年間もフラれ続けてたのにその女の子を自分の会社に入れちゃってね?」 「俺が入れたんじゃねーよ!!! “社長”が入れたんだよ!!!」 「“たまたま”?」 「“たまたま”だろ?」 「それは“たまたま”じゃないね。」 弟さんに椅子に促され座ったタイミングで“社長”がそう言った。 それに全員で驚いていると・・・。 「本橋さんに俺から頼んだんだよ。 “喫茶店の外で娘さんを弟と会わせていいですか”って。 そしたら、“天野君の事務所で雇える?”って聞かれて。」 そんな、驚く話をされて・・・。 「いつまで経ってもちゃんと彼女がいないみたいなのに、愛して愛して仕方ない相手はいる顔をしてたからね。 箕輪に聞いてみたら“隠れ家の鍵の子”って教えてくれて。」 「・・・あいつ、やっぱり近所のお喋りババアだよな!!! なにが“姫”だよ!!!」 「そういう人達の情報も役立つ時があるから。 それに、箕輪が結婚してからは何かと気に掛けて貰ってたらしいね。 村田先輩が最後まで中岡先輩に気持ちを伝えなくて、箕輪はお前達に後悔してほしくなかったんだろうな。」
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