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あの日に箕輪さんは退職をし、加賀製薬の社長秘書に戻った。
でも今でも頻繁に連絡を取っているし夜ご飯に行ったりもしている。
「箕輪さんって、私の会社の小町先輩の幼馴染みなんだよね!!
小町先輩が小池さんに良い印象がなかったのって、大好きな箕輪さんが小池さんと内緒話みたいなのをするようになったからだったんだって!!」
「それって、中岡さんのことを相談してたんだよね?」
「そう!小町先輩に相談しても“好きに決まってるじゃん”としか言わないから、小池さんに相談してたんだって!」
「・・・本人に聞けばいいんだよね、本当は。
でも怖いんだよね・・・。
好きだからこそ、怖くて聞けないことがあるんだよね・・・。
それで勝手に色々考えちゃって、勝手に結論を出しちゃうの。
自分の想像の中だけでね。」
「弟君もそういうタイプだよね!!
何かあったら私に直接聞いてよ?」
海神ちゃんがそう言って、少し怒りながら弟君を見た。
そしたら・・・弟君まで怒りながら海神ちゃんを見ていて・・・
「じゃあ聞くけどさ、矢田さんのこともう本当にいいんだよね?」
「・・・矢田さん?矢田さんが何?」
「何って・・・矢田さんのこと、好きだったんでしょ?」
矢田さん・・・。
加賀製薬の研究職の矢田さん。
弟君から何故かその人の名前が出てきた・・・。
海神ちゃんだけでなくわたしまで首を傾げてしまう。
「私、矢田さんのことが好きとか言ったことないけど、何?」
「海神ちゃん、好きな奴いたじゃん!!
矢田さんに気を許してたし、熱い視線を送ってたから、あの人だったんでしょ?」
弟君が怒りながら海神ちゃんに言っていて・・・。
話には聞いていたけど、演技をしている所しか見たことがなかったので、こんな感じで怒る人だったのに少し驚く。
弟さんも驚いていて、男さんと奥さんも驚いていて・・・。
そんな中、海神ちゃんだけは冷めた顔で弟君を見て・・・
「そんな所から勝手に矢田さん出してこないでよ、失礼でしょ。
私が好きだったのは演技をしてた時の弟君なんだけど。」
そう言って、弟君を黙らせていた。
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