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7月・・・ 街頭もない真っ暗な世界。 そんな世界の中、目の前にどこまでも広がる空には小さく輝く沢山の星が。 背中に感じる草の感触、草と土の匂い、木々が揺れる音、そして・・・ わたしの右隣には弟さんが。 しっかりと手を繋いでピッタリとくっついている。 「星神ちゃん、あれって天の川だよね?」 わたしの左隣にピッタリとくっついている海神ちゃんに聞かれた。 「天の川だね。」 「すごい、田舎の星空はこんなに星見えるんだね。」 海神ちゃんが抑揚が一切ない言い方で話している。 「毎晩こうやって充電したい・・・。」 そんな発言まで飛び出して、わたしは面白くて笑ってしまった。 海神ちゃんと弟君と土日に一緒に遊ぶことも増え、その時は毎回海神ちゃんは省エネモード。 「“取締役”、あんなに子どもの人数心配してたのにまだ妊娠してないね!!」 海神ちゃんの隣に寝転がっている弟君が笑いながらそんなことを聞いてきた。 「妊娠しすぎても死ぬからな。 それに星神がそっちも“女神”すぎて、仕事出来なくなるから控えてる。」 「俺もなんだけど!!」 2人の“弟”の会話を聞いて、わたしは海神ちゃんと目を合わせた。 最近も2人で相談してしるけれど、2人の“弟”がほとんどそういうことをしてくれず・・・。 月に1度あるかないかで・・・。 「「大急ぎで結婚したのに。」」 わたしと海神ちゃんの声が被った。 最近よく発言が揃うようになってきて、それくらい一緒にいるようになっている。 入籍日も同じ日、再来週の結婚式については2組一緒に挙げることになっている。 そんなことを考えていたら、弟さんのスマホが鳴った。 「・・・隼人から。案件終了したらしい。」 村田さんからの報告があったらしい。 あの後、村田さんは逮捕などはされなかった。 親告罪である罪をいくつか重ねていたそうだけど、誰も被害届を出さなかったそう。 相川社長が村田さんと一緒にその人達に謝罪に回り、驚く程静かに終わった。 でも、村田さんは相川薬品を退職した。 理由は・・・ 「あの人、これからこっちに来るとか言ってるぞ!?」 「やだ~!!弟さん断ってくださいよ!!」 「・・・いや、もう駅まで着いてるらしい!!」 「村田さん弟さんのこと大好き過ぎですから!!!」 大変なことに、村田さんは弟さんのことが好きになり、結婚しているのに猛アプローチをしてきている。 うちの会社で働き始めてしまって、それも物凄く優秀・・・。 さらに・・・ 「村田さんのことを尊敬していた結構ヤバい人達もうちの会社に来ちゃったし!! 大丈夫なんですか!?」 「危険な案件がこっちに大量に回ってくるんだよな!!」 「全員気配消すのは得意だよね~? 俺が海神ちゃんと一緒にいた時も張ってたらしいけど気付かなかった!!」 「俺の方も。隼人が海神と星神を尾行させてたのに気付かなかった。 あんな中、よく何も気付かれないで危険な情報のやり取りを口頭でやり遂げたよな!!」 弟さんにそう言われて・・・ 海神ちゃんと目を合わせる・・・。 この視線でのやり取りを海神ちゃんとは何度かしたことがある。 でも、声に出してしまうのは初めて・・・。 「「10年間、2人でやってたから。」」 .
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