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「「10年間・・・?」」
2人の“弟”も声が揃う。
それに海神ちゃんと小さく笑いながら続ける。
「オーシャンさんって調査員のバイトをしてたんだよね?」
「そう。星神ちゃんが働いていた喫茶店は“隠れ家”だったらしいしね。」
「海神ちゃんのお家に喫茶店のコーヒーを・・・コーヒーというか海神ちゃんにはコーヒー牛乳なんだけど、それを頼まれたらデリバリーしてたの。
情報というデリバリーを、わたしもたまに。」
そう言ってから弟さんの方を見た。
目が慣れてきているので、暗くても弟さんの顔は見える。
凄く驚いた顔をしている。
「お父さんから、デリバリーの時にお客様からの話をよく聞いて、こっちからも必要な話を世間話の中に組み込んで話す訓練だけはされてた。
お父さんに“本物”を教えてくれた調査員のお仕事、それの手伝いがしたくて中学の頃からお願いして“隠れ家”で働かせてもらってたの。」
「だから・・・海神とも、10年間?
俺は真坂から海神にはそうやって情報を届けさせるとは聞いていたけど、まさか星神が受け取っているとは思わなかった・・・。」
「私もお兄ちゃんから何度も練習させられてたけど、星神ちゃん凄い上手だった。
でも、店員さんの子は知らないかもしれないから、あくまでも店員さんと世間話するようにって言われてたから、仲良くなりたくてもならない方がいいかなって我慢してた。」
「海神ちゃんも知ってたのか・・・。
知っててオーシャンからの情報を届けててくれてたの?」
「当たり前じゃん。
知らなければそんなの10年間も続けないでしょ。
“木葉君の妹”のためとは知っていたけど、その人が“天野弟のお姉さん”でもあるとは知らなかったけどね。
家族が命懸けでしようとしているなら、私はそれに命懸けで協力する。」
海神ちゃんがそう言うと、弟さんと弟君はしばらく無言になって・・・それから大笑いをしていた。
“女神には敵わない”
そんなことを2人で言いながら。
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