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さっき事務所で別れたばかりだし、人の気配も何もなかったので驚いていると弟さんが涼しい顔で聞いてきた。
「今日この後何か予定あるか?」
「特にありません・・・。」
「俺と星見に行かない?」
「星・・・。」
思いもしなかった言葉に、驚くしかなくて・・・。
どう返事をしていいのか分からず弟さんを見上げたまま停止してしまった。
そんなわたしを見下ろし、弟さんは困った顔で笑った。
「無理なら大丈夫!!
引き留めてごめんな!お疲れ!!」
そう言って、大きな背中をわたしに向けて事務所に戻ろうとしていく・・・。
弟さんはこれから星を見に行くらしい・・・。
箕輪先輩がいなくて、わたしに声を掛けた・・・。
アシスタントの人が掴まらなかったから・・・。
わたしもダメな場合はどうなるのか・・・。
1人で行くのか・・・。
それとも、誰かに声を掛けるのか・・・。
わたしに恋をしているように見える演技も弟さんは簡単に出来て・・・。
あんなに挙動不審になってしまったわたしをフォロー出来るくらいで・・・。
エレベーターの扉が開く音が後ろで聞こえた。
その音を聞きながら、弟さんの大きな背中から目を離すことは出来なかった・・・。
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