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わたしの心臓はこれ以上耐えられないくらいに大暴れしている・・・。
そんな中、視界に入る限り星空が広がっている・・・。
そして、わたしの右側には・・・
弟さんが・・・。
2人で密着して寝転がり、星空を見ている・・・。
背中に感じるのは大地ではなくフワフワのクッションみたいなシート。
風もなく木々が揺れる音もなく、たまにクスクスと誰かの笑い声が小さく聞こえ・・・
落ち着いた女の人のナレーションが。
そのナレーションの通りに星空が姿形を変え、わたしの視界の中に収まる。
“俺と星見に行かない?”
弟さんに聞かれ、何も答えられなかった。
でも遠くなっていく大きな背中を見て思ったことは1つで・・・。
普通の顔で普通の身長で普通の体型のわたし。
そんなわたしだけど、名前だけは普通ではない。
“星”の“神”と書いて“星神(せいか)”。
行きたかった・・・。
弟さんと星を見に行きたかった・・・。
仕事だとしても、わたしは弟さんと星を見に行きたかった・・・。
精一杯の勇気を振り絞り弟さんの大きな背中を追いかけ、星を見に行くアシスタントを引き受けた。
弟さんが運転する車に乗って連れてこられたのは、星が見える場所・・・。
都会にいても星が見える場所・・・。
プラネタリウムだった・・・。
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