☆2

5/27
前へ
/184ページ
次へ
わたしの心臓はこれ以上耐えられないくらいに大暴れしている・・・。 そんな中、視界に入る限り星空が広がっている・・・。 そして、わたしの右側には・・・ 弟さんが・・・。 2人で密着して寝転がり、星空を見ている・・・。 背中に感じるのは大地ではなくフワフワのクッションみたいなシート。 風もなく木々が揺れる音もなく、たまにクスクスと誰かの笑い声が小さく聞こえ・・・ 落ち着いた女の人のナレーションが。 そのナレーションの通りに星空が姿形を変え、わたしの視界の中に収まる。 “俺と星見に行かない?” 弟さんに聞かれ、何も答えられなかった。 でも遠くなっていく大きな背中を見て思ったことは1つで・・・。 普通の顔で普通の身長で普通の体型のわたし。 そんなわたしだけど、名前だけは普通ではない。 “星”の“神”と書いて“星神(せいか)”。 行きたかった・・・。 弟さんと星を見に行きたかった・・・。 仕事だとしても、わたしは弟さんと星を見に行きたかった・・・。 精一杯の勇気を振り絞り弟さんの大きな背中を追いかけ、星を見に行くアシスタントを引き受けた。 弟さんが運転する車に乗って連れてこられたのは、星が見える場所・・・。 都会にいても星が見える場所・・・。 プラネタリウムだった・・・。
/184ページ

最初のコメントを投稿しよう!

232人が本棚に入れています
本棚に追加