☆2

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1時間弱の上映時間中、弟さんもわたしも何も話さず身動き1つしなかった。 上映が終わりザワザワとした館内、天井の星の明かりだけだったのが電気がつき明るくなった。 星空だったのが一気に何でもない天井へと変わり、現実へと引き戻される。 そして、わたしの右側にいた弟さんがゆっくりと起き上がったのを見てからわたしも起き上がった。 フワフワのクッションみたいなシートに腰を掛けたまま、弟さんが隣に座るわたしを見る・・・。 大変なことに・・・ 弟さんはわたしに恋をしてくれている顔でいる。 そういう演技をしている・・・。 この前のラブホテルでもそうだったけど、この顔を見ると泣きそうになる。 泣きそうになるくらい、悲しくなるし嬉しくもなってしまう・・・。 「プラネタリウムだとこんな感じだな! 本物の星空見たことある?」 「はい・・・。 父が東北出身なので、小学生までは夏休みは1ヶ月間くらい田舎の祖父母の家に行っていて・・・。 隣の家も見えないくらい田舎で、街頭もないくらいで・・・。 真っ暗な世界の中・・・星空だけが明るかったです・・・。 あと・・・ホタルとかもいましたけど・・・。」 「すげ~!!そんな所本当に存在するんだな!!」 「東京だと2つ3つくらいしか星は見えませんからね・・・。」 「大人になってから田舎に行ってねーの?」 「中学生になってから父が喫茶店を始めて・・・。 その手伝いを頼まれていたので・・・。 今年は久しぶりに行こうと思っていたら、わたしの夏休み中に祖父母の方から東京に遊びに来たので田舎には行けませんでした・・・。」 わたしがそう答えると弟さんは苦笑いをしながら何度か頷いた。 「まだ時間あるか?飯も行ける?」 これまでも何度かアシスタントの仕事でご飯屋さんに入ったことはあった。 でも今回はプラネタリウムからのご飯・・・。 不倫調査での張り込みなのかデートのような時間で・・・。 初めてのデートも仕事でになってしまった・・・。 でも・・・わたしは頷いた・・・。 弟さんはわたしが恋をしてどうにかなる相手ではないから・・・。 仕事でもないとこんな風にデートのようなことを出来る相手ではないから・・・。
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