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「木葉(きば)さん、女性を連れてきたのは初めてですね?」 カウンターの向こう側から、50代くらいの男性の職人さんがお寿司を握りながら笑っている。 プラネタリウムの後に来たのはお寿司屋さんだった。 回らないお寿司なだけではなくて、どこにもメニューや値段が書いていないお寿司屋さん・・・。 そんなお寿司屋さんのカウンター席に並んで座り、目の前に出されたキラキラと輝くお寿司を見る・・・。 カウンター自体がお皿のような役割なのか、大理石みたいな石のカウンターの上に輝くお寿司をそのままのせている・・・。 ここからどうやって食べるのか分からず戸惑っていると、弟さんは普通にお箸で食べていたのでわたしも同じように食べた。 そして・・・ 美味しさのあまり悶えた・・・。 よくテレビで“口の中でとけた”と言っているけど、本当にとけた・・・。 わさびやガリまで、わたしが今まで食べてきた物と別物過ぎた・・・。 「そういうんじゃねーよ、会社の子。」 そう紹介されても悲しくもならないくらいにお寿司が美味しい・・・。 「そうですか~・・・? 今度お母様のご予約があるのでご報告しておきますね。」 「いらねー期待させんなよ。 きょうだいが次々に結婚してるからな。 早く全員結婚させて安心したいらしいから期待するだろ。」 職人さんは弟さんのお母さんのことも知っているらしい。 「俺の母親、クラブの“ママ”やってるんだよ。」 「そうなんですか・・・。」 「きょうだいが9人と血の繋がらないきょうだいが1人いて、最近立て続けに結婚してて。」 「ごきょうだい・・・そんなに沢山いらっしゃったんですか・・・。」 「父親が罪人なんだよ。 腹違いのきょうだいもいる上に、俺の名前を“弟”とか名付けやがった。 実際本当に罪人だからデカイ会社の社長も引きずり降ろされて、今は檻のついた病院に死ぬまで閉じ込められてる。」 「そうだったんですか・・・。」 初めて聞く弟さんのプライベートな話、それも結構ショッキングな話・・・。 でも・・・大変なことに、出されるお寿司が美味しすぎて頭の中は“お寿司美味しい!!”で埋め尽くされている・・・。
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