☆2

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そんなわたしの思考が読まれているのか、見た目でバレバレなのか、弟さんは楽しそうな顔で笑っている。 「酒飲んでいいからな?」 「え・・・!! でも、弟さんは運転ありますし・・・」 「俺はノンアルでいいよ。」 弟さんにそう言ってもらいこれには悩んでしまう。 だって、さっきからお酒を飲みたいなと思っていた。 この美味し過ぎるお寿司と一緒にお酒が飲みたい・・・!! 「本橋、意外と酒強いんだよな。 何飲む?日本酒?」 「いいんですか・・・? 本当に、いいんですか・・・?」 仕事中なのにこんなに美味しい美味しいお寿司まで食べ、お酒まで・・・。 焦りながらも飲みたい気持ちが強すぎて、自分でも訳が分からない感じになっている。 そんなわたしに弟さんが日本酒を頼んでくれた。 そしてわたしにお酌までしてくれ、そんな貴重なお酒を一口飲み・・・ 日本酒まで美味しすぎて悶えた・・・。 絶対に高いやつ・・・。 絶対に二日酔いにならないくらい良いお酒・・・。 そう思っていたら・・・ 「呑みすぎたら二日酔いになるからな? 今日まだ水曜日だから呑みすぎるなよ?」 弟さんに読まれていて、そう言われてしまった。 弟さんは楽しそうに笑っている・・・。 楽しそうに笑って・・・わたしに恋をしてくれている顔をしている・・・。 デートみたいだった・・・。 誰かとデートをするのは初めてで・・・。 それが恋をしてしまっている弟さんが相手で・・・。 自然と笑顔になってしまう。 こんなの、自然と笑顔になってしまう。 弟さんは優しい顔でわたしに笑い掛け・・・ わたしの顔に顔を近付けてきた・・・。 それに驚いていると、わたしの顔を通りすぎて耳に息が掛かった・・・。 そして・・・ 「残業代、申請しろよ?」 そう言ってからゆっくりとわたしの顔から離れ・・・ 「“星神”、この後も空いてる?」 “星神”と呼んだ・・・。 わたしのことを“星神”と呼んだ・・・。 演技だった。 分かっていたけど、やっぱり、やっぱり、本当に・・・演技だった・・・。 泣いてしまいそうなくらいの悲しみを、プラネタリウムの星空よりも輝くお寿司とお酒で飲み込んだ・・・。
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