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あと少しで繁華街の駅に着く頃、わたしはもう1度だけ弟さんを確認した。
そしたら・・・初めて目が合ってしまった。
それに驚いた瞬間、弟さんはフワッと優しい笑顔になって・・・。
それから、窓ガラス越しでも分かるくらい・・・それくらい、わたしに恋をしてくれている顔になった・・・。
入社をしてから初めて、初めて・・・弟さんがわたしにそんな顔を向けてくれた。
嬉しくて・・・
嬉しくて・・・
泣きそうになった・・・。
窓ガラスに映る弟さんの顔から目が離せず鼻の奥がツンッとした時、弟さんがわたしの腰にゆっくりと手を回してくるのが見えた・・・。
それを窓ガラス越しに見て分かっていたのに、弟さんの大きな手がわたしの身体に触れた時・・・
身体が大きく跳ねてしまった・・・。
そんなわたしに弟さんが小さな声で笑い・・・
「降りるぞ、せいか。」
わたしを初めて“せいか”と呼んで・・・
腰に回した手に少し力を入れ、身体を密着させ電車を降りた。
男の人にこんな風にさせたのは初めてで・・・。
それが、弟さんで・・・。
嬉しくて・・・
嬉しくて・・・
泣きそうになる・・・。
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