宇佐見先生による防災訓練レポート(当日編)

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 三階住民の列の先頭は、咲き誇る薔薇のようなオーラを背負った金髪・碧眼の美青年、ジルベール様。  どう考えても、彼をジルベールさん、と呼ぶことは出来ない。  次に305号室の、内ももをすりあわせ忍者のように動く、黒いフードで目元を隠した小山田さん。  次に306号室、山下さん母子。儚げな印象のお母さんと元気いっぱいの小学生のメイちゃん。  メイちゃんは俺と目が合うと、ポケットからあめ玉を取り出して、俺の手に握らせてくれた。 「お兄さん。疲れた顔してる。甘いものって心に大事よ。ときには心を甘やかすのよ」  とても小学生としゃべっている気がしない。  次に307号室の、水上さんとダーチャさん。  水上さんは先ほどの黒髪童顔青年で、ダーチャさんは銀髪・碧眼のイケメソTシャツ青年だ。 「列の最初と最後が金髪のイケメンと銀髪のイケメンで構成されてる」  俺のぼやきに答えてくれたのは、猫森夫人のシャッター音だった。 「マーベラスで、ワンダフルで、もうデンジャラスな領域ですわ」 「でんじゃらす・・・・・・」  黒フードの小山田さんがフードをさらに目深に被り、内ももを震わせた。  こころなしかさっきより内もも擦り合わせの速度が速まっている気が。  相変わらず物音はしないけど、高速で動けるタイプのひとらしい。 ☆307号室  Blancさん作品『【辺境の王子】トーキョー・セタガヤの犬』https://estar.jp/novels/25982636  *ここまで読んでくださってありがとうございます!カオス深まる四階と五階の住民紹介は、しばしお待ちください✨入居者の皆さま、猫森自治会長、訓練へのご協力ありがとうございます!
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