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「ハッピー!」
フランス映画の子役みたいなくりんくりんの金髪巻き毛少年が、その背後から叫ぶ。
「えーと、消火器、預かってきたんです」
唯一ローテンションな声がして、ハイテンションな三人が場所を開けた。
長髪を後ろで束ねた男が消化器をふたつ、玄関の三和土に置いた。
男が顔を上げる。
こいつも日本人ではなさそう。
男と目が合う。黒い髪と白い肌の対比。
一度も日に当たったことが無いみたいに、白い。
「今日は曇り空だし、日本製の日焼け止めは優秀だからね」
こちらの頭の中を見透かされたようで、どきりとする。
「テオ! 美少年シュミだからってさ、僕以外に色目使わないでよ!」
人間がデレるときって、人種とか国籍とか関係ないんだなって思った。
テオと呼ばれた長髪の男は、その瞬間に見事に顔面崩壊した。
「ミカ以外、目に入るわけないだろ。この先の百年もミカ以外、愛せないよ」
黙って立ってればクールでミステリアスな印象なのに。
百年って、大げさな。
「エターナル! フォーエバー! ネバーエンディング!」
盛り上がって抱き合う漫才コンビが混乱を増強する。
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