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50音順
和田康太(9歳)
なぜだ!
親友のケンジもリョウも、すぐ仮病で休むアユミちゃんも、いつも宿題をやって来ないミツルも、忘れ物が多いタカシまで!
みーーーーーーんな、今日はやって来ていた。
なにこの奇跡?
嘘でしょ!
担任の熊殺平蔵先生は無茶苦茶怖い、特に嘘つきにはとんでもなく怖い。
「よーし、お前ら、宿題の作文はやって来たか―?忘れた奴は手を挙げろー」
僕はやって来なかった、ゲームに忙しかったので仕方ない。
だけど最初に手を挙げる勇気は無い、鬼殺先生の目に留まりたくないから。
誰かが手を上げたらその後に続いてそっと手を挙げよう。
と・・・思ったら・・・誰も手を挙げない!!
僕はタイミングを逃してしまった!
「おーー!皆、やって来たのか!感心感心!それじゃあ・・・順番に読んでいってもらおうか。そうだな、50音順で行くか、天野からだ」
50音順!僕は「わ」だ。最後の最後だ。
皆が作文を読んでいく。
「あ」行から「か」行、そして「さ」行のクラスメイトたちが作文を読んでいく。
僕の「わ」まで、刻一刻とその時が迫ってきている。
来るな!来るな!「わ」まで来るな!それは本音だ!
さっさと「わ」まで来い!そして「忘れました」と言って早く楽になりたい!それも本音だ!
神様ごめんなさい!僕をこの地獄から出して下さい!
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