『ピーちゃん』を演じれば

　ピーちゃんは、妹のミキもが飼っていたセキセイインコだった。
　全体が青く、頭部だけが白い。
　物覚えが悪くって、妹がどんなに教えても、自分の名前と同じ「ピーチャン」としかしゃべらなかった。
　なのに時々‥‥
「ウキョキョキョキョー」
　とか‥‥
「アッタッタッタッター」
　といった、およそインコらしからぬ鳴き方をした。
　それ以外は、特に印象のないインコだったが、よく妹の指や肩に乗っては、毛づくろいをしていた。
　その飼い主だった妹は、昨年の春、亡くなったので、それからは僕が世話をしてきた。