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「煌めく」なんてまず日常で出会うような人間に、……ましてや男に使う表現ではない。
肌も滑らかで陶器のようだ。この年頃の男など、もっとざらついて脂っぽいのが普通ではないか?
眉の形も鼻筋も、あとで思わず「何もしていないのか」と確認してしまったくらい整っていた。
「別になんも。手間暇掛けるほど自分の顔にキョーミねえし」
──いやホント失礼だよな、あたし。そんなつもりなくても「あんた、顔弄ってんの?」って訊いてるのも同然じゃんか。
屈託なく答えてくれた郁海に、自分の問いの意味に気付いて冷や汗が出そうだったのもよく覚えている。
これが『美貌』というものだ、と形にして見せつけられた気がして、雅は逆に身体の力が抜けた。
過ごしてきた環境柄、所謂「美人やイケメン」など、表現が悪いのは承知で掃いて捨てるほど周囲にいた。
その雅でもリアルでここまでの美形にはお目に掛かったことなどなかったのだ。
あの衝撃は、多少のことでは忘れられるものではない。
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