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【第二幕】
同期は何人もいたけれど、一番親しくなったのは郁海だった。
「雅~、コーヒー飲みに行かね?」
「カフェテリアなら行く!」
「当然だろ。外行く金なんかねえよ」
彼が誘うのは、まず例外なく大学構内のラウンジ棟二階にあるカフェテリアだ。
広くて窓が大きいため明るく、何より安い。味も、コストパフォーマンスとしては十分だ。
郁海はいつも、清潔ではあっても衣服に気を配っているとは言い難かった。何でも着こなしてしまうのは間違いないとはいえ、本当に外見には無頓着なのだろう。
一人暮らしなので、洗濯機で洗えて特に手入れも必要ない服が一番だ、と話していたのが印象に残っている。
容姿に自信がありお洒落も好きな雅とは、共に過ごすとあまりにも雰囲気が違うのが目立ってしまうほどだ。
ただ、友人同士なのだから互いに気にしたこともない。
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