132人が本棚に入れています
本棚に追加
Dear 運命の人
彼が、私の傍から居なくなってからも
日々は巡る。
激しく照りつける太陽は高く遠く離れ
雲はいつしかさざ波のように薄くなり
遠く見える山の頂上は白く色付き
外に出て吐く息は目で見えるようになる。
泣いていても笑っていても
時間は容赦なく過ぎ去るのだから…
どうせなら笑って、過ぎ去る日々を感じよう。
同じ日々を過ごせることが
幸せなことだと思っていた。
同じ日々を過ごせば想定外な事は起きるはずがないから。
誰とも揉めることなく
誰にも傷つけられることもなく
自分自身誰も傷つけることなく
泣くことも、苦しむことも
眠れない夜があることも
同じ日々を過ごしていたら
なかなか起こり得なかった。
だけれど…
彼と出会って何度も泣いた。
何度も苦しんだ。
何度も挫折して、その度に逃げ出そうとした。
思い返せば辛い事の方が多かったかもしない。
想定外なことしか起こらない彼と一緒にいた日々は、正に私にとっての想定外だった。
思い出す彼との思いでは、
楽しいことばかりではなかったのだけれど、
どの出来事も色褪せることなく鮮明に私の頭に刻まれている。
__「真夏!」
振り返ればそこには大好きな笑顔がある。
「市原さーん!」
手をぶんぶん振りながら彼の元へ行く。
どちらからともなく、
抱き合い、見つめ合い、存在を確かめ合う。
「もう一生離さないから、覚悟しとけよ」
「一生って…それじゃまるでプロポーズじゃん!」
「そのつもりだ」
ほら、、こうして想定外は突然やってくるのだ。
「私もそのつもりー!」
イレギュラーを恐れていては
こんな事も起こらなかったかもしれない。
彼は照れくさそうに…
でも真剣な目で
「愛してる、オレとずっと一緒にいてくれ」
彼のその顔と言葉は一点の曇もない。
もちろん私の返事も
「はい…!」
一点の曇もない。
__Dear 運命の人、
あなたと出逢って私は、たくさん泣いて、
たくさんの眠れない夜を過ごしたりもした。
なんの色味もない無色透明だった私の世界は
暗く色づいたり…
だけど時には明るく色づいたり…
彩り豊かな世界が広がった。
たとえこの先どんな困難が待っていても…
きっとあなたは私の世界を鮮やかに彩ってくれると信じている。
あなたは私の
たった一人の運命の人だから__。
最初のコメントを投稿しよう!