再び高鳴る鼓動

1/4
前へ
/51ページ
次へ

再び高鳴る鼓動

市原さんと出会ってからの私は、 四六時中、彼のことばかりが頭に浮かんだ。 毎日の日課だった早朝ランニングも、 足のケガが治るまでおあずけ。 ランニングができない朝でも、 習慣付いた体内時計は狂うことなく 同じ時間に目覚めさせるのだ。 ランニングができないということ以外は いつもとなんら変わりのない日常。 同じ時間に目覚め、同じ時間に準備し、 同じ時間に朝食を食べ、同じ時間に大学に行く。 同じ時間にバイトに行き、同じ時間に退店し 同じ時間に家路につく。 同じ時間に入浴し、同じ時間に眠りにつく。 全てが今までと同じルーティンだ。 だけど、今までと違ってしまったのは 早朝ランニングができないことだけではなかった。 市原冬真 気づけばこの人の存在が、 常に私の心と頭の中を支配した。 それは、朝目覚めても 夜眠る時も 市原冬真という男性が、頭から離れないのだ。 間違いなくイレギュラーな事が起こった。 生活のルーティンは何も変わってはいない。 イレギュラーな事が起こったのは 私の心そのものだ__。
/51ページ

最初のコメントを投稿しよう!

132人が本棚に入れています
本棚に追加