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裏切り
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「柚葉さん2年連続功労賞、おめでとうございます」
「秋月、倉木ペアには適わないですね」
職場の皆から祝いや称賛の声ともに私、秋月柚葉のグラスにはなみなみとビールが注がれた。
私はその度に「ありがとうございます」と一向に減らないグラスに愛想笑いを浮かべながら、息を吐く。
お酒は強い方だとはいえ、そろそろ限界を迎えている。
隣の席に長時間居座っていた常務がトイレに席をたって、漸く解放された私はホッと一息ついてビールを煽った。
すると、再び後ろから「秋月さん、おめでとうございます」と女性の声が聞こえてきた。
ああ、やっと解放されたと思ったのに...。
そう思いながらも、「ありがとうございます」とニッコリと営業スマイルを張り付けて振り返った。
「って、栞奈かっ」
私はその声の主が気のしれた同期の北村栞奈だと分かって、すぐに素の顔に戻した。
栞奈は「何、その作ったような笑顔っ」とからかい交じりに
先程まで常務が座っていた席に腰を下ろした。
そんなに違和感のある笑顔だっただろうか..
私は栞奈に作ったような笑顔と指摘され、思わず頬に手が伸びる。
「人気者は大変ね。河神常務、1時間10分も柚葉嬢の隣を陣取ってたわよ」
栞奈は腕時計に目を落としながら顔をしかめた。
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