樹海のコンビニ

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自殺の名所としても知られている青木ヶ原。今は遊歩道やキャンプ場も整備され、観光地でもある。今日は大学の同期の青木くんと2人で青木ヶ原観光に来ている。 「入ったら抜けられないって言われるけど、遊歩道とかしっかり整備されとるから大丈夫そうやな」 「せやな、コンビニまであるし」 「そうそうコンビニまで、ってコンビニあるん?」 「ほらそこ」  青木くんが指差す方向をみると、たしかにコンビニがあった。つるで建物が覆われ、森の一部と化している。 「なんでここにあると?そして深緑色やけん見落とすし」 「景観に配慮しとるんちゃうん?」 「たしかに京都とかで周りに合わせて茶色いコンビニ見たことあるけど」 つるまで生やすってどれだけどうかさせとるん? 「歩いてお腹すいたし、ファミチキでも買うか」 「いや、入るん?」  コンビニは遊歩道から外れたところにある。明らかにおかしい。 「腹が減っては戦はできぬ」  青木くんは躊躇いもなく獣道を進む。ウチも仕方なくついていく。 「待ってよ。スカートがツルに引っかかる」 「そんな格好でくるからやん」 「オシャレはしたいし」 「そう言う場所ちゃうから」  確かにこの格好できたのは後悔している。
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