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突然の告白
いつの間にか、周りには人がいなくて2人きり。
「一樹、好きだよ。出会った時から」
「……俺、障がい者だし、嫌になるかもしれない」
「ならない。この先ずっと一樹のそばに居たい」
「っ…!」
嬉しい。…でも、
「俺、歩けないし他の恋人みたいにできないこといっぱいあるよ」
「それでもいい。ずっとそばにいたい」
その先のことはできるかもだけど……って、何考えてんだ俺っ!
ブンブンと頭を振ると、不思議そうに俺を見た。
「一樹?」
「な、なに!」
「大丈夫?」
「うん、大丈夫」
早瀬は暫く考え込んでから、顔を上げて言った。
「キスとかその先とか…できない?あっ、デートはできるよね?」
「そっ、それは……できる…かも……?」
恥ずかしくて、後に連れてだんだん声が小さくなると同時に顔が下がる。
「照れてる?」
「そりゃ…うん。そう言うこと一切したことないし…」
「可愛い…。じゃあさっきのもファーストキス?」
「う、ん」
「じゃあ僕が一樹の初めて全部もらってもいい?」
恋愛対象として好き…かは分からない。けど、こんなこと言われて、されたら意識しちゃうだろっ…。いつかそのうち好きになっちゃうと思う。それなら今告白されたなら、付き合うしか無い。というか、付き合いたい。
「うん…いいよ。俺と付き合ってくれる?」
「うん!…というか、台詞取られちゃったぁ…カッコよく決めたかったのに…」
ムッと頬を膨らませて拗ねる。
「ふふっ……」
「あっ!笑った?」
バッと顔を上げて、すごくキラキラした目で見つめてくるから、また笑ってしまう。
「あぁ。ほら、教室戻るぞ」
チャイムが鳴るまで後2分。
「遅刻する!」
早瀬は、車椅子に手をかけた。
「行くよっ…!」
「お、おい?またするんじゃーー……っ!!」
俺の言葉を聞かずにまたダッシュした。
「うぁぁああっ?!!」
教室まで全力疾走したはいいけど、また全然に捕まって指導を受けた。
「お前またか!何度言えばわかるんだ?!」
「う、嬉しくなって…すみません」
先生はまた、「はぁ?何言ってんだ?」って顔をして首を傾げた。
「訳わかんねぇこと言ってねぇで反省文書け!!」
「はい…」
「ほんっと、学習力ねぇな」
やれやれと言いたげにため息をついた。
けれど、早瀬は幸福に満ち溢れた顔をしていた。
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